小脳の構造と機能(46P70)

小脳の構造と機能

随意運動の制御に関与する部位はどれか。

  1. 松果体
  2. 扁桃体
  3. 歯状核
  4. 青斑核
  5. 海馬







目次

解説

小脳の構造

小脳は大脳後頭葉の下方、延髄や橋の背側の後頭蓋窩にあり、第四脳室の天井をつくりながら大きく左右に膨らんでいます。

小脳の部位は、それぞれ内側を片葉小節葉(前庭小脳・原小脳)、中央を虫部(脊髄小脳・古小脳)、両側半球(橋小脳・新小脳)に区分されています。

これらは系統発生学的には古い順に原小脳(片葉)→古小脳(中部)→新小脳(両側半球)に区分されています。

小脳の構造

出典:小脳・脳幹のはたらき – からだと病気のしくみ図鑑 – goo辞書


小脳の表層は小脳皮質という灰白質で覆われ、深部は白質からなります。


小脳皮質(灰白質層)は表層から深層に向かって①分子層神経細胞層(プルキンエ細胞)顆粒層 に区分され、分子層には星状細胞やバスケット細胞が散在し、神経細胞層は大きなプルキンエ細胞のみから、顆粒層は顆粒細胞が密集し、その中にゴルジ細胞が散在しています。


これらの細胞の中では顆粒細胞だけが興奮性ニューロンであり、他は抑制性ニューロンになります。


小脳皮質には登上線維苔状線維の2種類の感覚入力神経繊維があります。



>>小脳皮質の神経回路についてはこちら




小脳深部(白質層)には4つの小脳核、内側から外側に向かって室頂核球状核栓状核歯状核があります。

小脳核

ゴロ 「外から四川で救出」

四(歯状核)川(栓状核)で救(球状核)出(室頂核)

※外側から内側に向かっての順番になるため、この順で覚える事に解剖学的位置関係も頭に入りやすいと思います。


4つの出力核、室頂核、球状核、栓状核、歯状核を総称して「小脳核」といいます。
これが解剖学的な狭義の小脳核です。

一方、前庭神経核は小脳のすぐ外にありますが、機能的観点からは相同であり、広義の小脳核とされることもあります。


小脳核

出典:小脳のニューロン・回路と機能 – 痛み取り専門 楽楽痛み研究会 公式サイト



小脳は神経繊維の束である3つの小脳脚(上・中・下小脳脚)によって脳幹(中脳・橋・延髄)と連結しています。

小脳の神経繊維結合
①上小脳脚:中脳と連結

小脳から視床核(間脳)・赤核に向かう遠心性繊維〔小脳赤核路、小脳視床路〕
一部は前脊髄小脳路のような小脳に入る繊維も含まれる。

②中小脳脚:橋と連結

最も大きな小脳脚で反対側の橋核から小脳に向かう求心性繊維〔橋小脳路〕

③下小脳脚:延髄と連結

脊髄や延髄から小脳に向かう求心性繊維〔後脊髄小脳路、オリーブ小脳路〕
小脳から発して前庭神経核に至る繊維も含まれる。



>>脊髄小脳路の機能と伝導路の解説はこちらから↓


小脳の機能

小脳は大脳基底核と連携して運動の調整や運動学習などに関わっています。

自転車やピアノのようにはじめは上手く出来なかった運動が繰り返すうちにだんだんと上手になるのはこれらの神経器官の働きによるものです。

小脳の構造と機能
①小脳中部

骨格筋にある筋紡錘からの深部感覚情報を入力
内側核(室頂核)・中位核(栓状核、球状核)に出力
四肢と体幹の平衡感覚を司り筋緊張を調整姿勢を維持する

②小脳半球

大脳皮質からさまざまな情報を入力
外側核(歯状核)に出力
運動の円滑化手足のバランスをとる

③片葉小節葉

頭部の傾きによる前庭器官からの平衡感覚情報を入力
前庭神経核に出力
頭部と眼球の運動制御身体の平衡を保つ



小脳の損傷では皮質運動野や大脳基底核の損傷とは異なった特徴的な症状がみられます。

まず、皮質運動野のような運動麻痺がおこらないことが特徴であり、損傷側と同側に異常運動を認めます。

大脳基底核での異常運動が不随意的に現れるのに対し、小脳病変では随意運動の際に現れます。

小脳虫部の損傷では…

体幹失調を生じ、起立・歩行などにふらつきを認めます。

小脳半球の損傷では…

上下肢失調を生じ、協調運動障害・反復運動障害・測定障害・企図振戦・筋トーヌス低下などを認めます。


1.松果体  ×

松果体は視床の後方に存在している内分泌器官です。

視床下部・下垂体系を介してメラトニンやセロトニンを生成し睡眠や概日リズム(体内時計)および、性成熟(性腺刺激ホルモン)の放出を抑制しています。

目からの光情報をもとに、松果体が日内リズムの調整を行っているため「第三の眼」と呼ばれています。


2.扁桃体  ×

扁桃体は大脳辺縁系に含まれ、快不快などの情動本能行動に加え記憶を司っています。

嫌いな虫に遭遇して逃げる・心拍数が上がるなどの情動を伴う体制運動や内分泌反応・自律神経反応と共に、生殖行動や摂食行動などの本能行動の調整に関わっています。

随意運動の調整には関わっていませんね。


3.歯状核  

歯状核は小脳核の1つであり、歯状核を介し大部分を外側腹側核(VL核)・前腹側核(VA核)へ情報を送ります。

その後、皮質運動野へ送り運動の円滑化を行っています。

大脳皮質 → 小脳半球 → 歯状核 → VL・VA核 → 皮質運動野

一部は歯状核から赤核に向い赤核脊髄路になります。


4.青斑核  ×

青斑核は橋の背側に位置する小さな神経核になります。

青く染まらない脳組織の中で青く見えるため、ラテン語でlocus(青い点)とされています。

脳内でのノルアドレナリン分泌部位であり、大脳、視床、海馬、小脳、脊髄などほとんどの主要な領域に投射を行っています。

主に意識や覚醒(上行性網様体賦活系)に関連しているとされています。

5.海馬   ×

海馬は大脳辺縁系に含まれ快不快などの情動本能行動に加え記憶を司っています。

様々な記憶に関与していますが、特に短期記憶に密接に関連していると言われています。


類似問題

53A82 運動制御における小脳の役割で正しいのはどれか。

  1. 一連の動作の企画
  2. 運動プランの切り替え
  3. 記憶に基づく運動の修飾
  4. 視覚情報を運動指令に変換
  5. 自発的な行為のプログラミング

43-23 主たる機能の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 大脳基底核 - 深部感覚中継核
  2. 小脳 - 筋トーヌス制御
  3. 海馬 - 姿勢調整
  4. 網様体 - 覚醒水準
  5. 角回 - 視覚中枢

39-9 小脳について誤っているのはどれか。

  1. 小脳は左右半球と虫部からなる。
  2. 小脳脚は上・中・下の三つからなる。
  3. 小脳核の一つにオリーブ核がある。
  4. 小脳皮質は3層からなる。
  5. プルキンエ細胞は小脳皮質からの出力を担っている。

39-11 体性感覚入力を直接受けるのはどれか。

  1. 線条体
  2. 黒質
  3. 視床下核
  4. 小脳
  5. 海馬
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