体性感覚(皮膚感覚・深部感覚)の伝導路

体性感覚(皮膚・深部)の伝導路
目次

過去の出題傾向

押さえておきたいPoint!!

  • 感覚情報(温度・痛・表在・深部etc.)はどの伝導路
  • 交叉する場所
  • 脊髄の前索・側索・後索のどこを通る
  • 薄束と楔状束の違い


上行性伝導路

伝導路とは神経情報を伝達(伝える)路(道)のことをいいます。

電車の線路のようなもので、感覚受容器(始発駅)からの神経情報が送られ視床(経由駅)を経由して感覚野(終着駅)にたどり着きます。

これはJR山手線やJR埼京線の線路により名前が違うように、ヒトでも出発地(○○○)
到着地(×××)の名前が取られ○○○×××路というう伝導路になっています。


例:脊髄から視床に投射する神経繊維 脊髄視床路

この伝導路は大きく「上行性(求心性)」「下行性(遠心性)」の2種類に分けられます。

上行性伝導路(感覚系):抹消の感覚器官で受けた刺激を中枢まで伝える伝導路

下行性伝導路(運動系):中枢から興奮を抹消に伝える伝導路


錐体路

皮質○○路

錐体外路

○○脊髄路

体性感覚

脊髄○○路


※伝導路の名称は様々ですが、その名称により錐体路・錐体外路・体性感覚のどれに分類されるかを判断することが出来ます。

体性感覚

この上行性伝導路は体性感覚特殊感覚内臓感覚(空腹・尿便意・体温etc.)に分けられます。

ここでは体性感覚について詳しく触れたいと思います。


特殊感覚・内臓感覚の詳しい説明はこちらから↓

>>視覚の伝導路の詳しい解説はこちらから




体性感覚は、皮膚と粘膜での皮膚感覚筋・腱・靭帯・関節での深部感覚を伝える伝導路です。


皮膚の感覚受容器からは、触覚・圧覚・振動覚・温度覚・痛覚などの情報が脳に送られ、その刺激の特徴を詳細に分析することによって、その刺激が何かを認識しています。


触覚には何か分からないけど、「触れられた」などの大まかな感覚を感じる粗大な触覚と、目を瞑った状態で触れたものの形状や部位が識別できる精密な触覚があり、同じ触覚でもそれぞれ脳に伝わる経路が違います。



深部感覚は身体の各関節が「伸びている」「曲がっている」情報や、筋・腱がどれくらい伸びているかの情報を、脳に常時届けています。

身体の関節の位置が意識できるものを意識性深部感覚といい、目を瞑ったままシャンプーに手を伸ばす場面などで働きます。

非意識性深部感覚は、意識にのぼらない関節や筋・腱の情報を小脳へ届けて、姿勢保持や関節運動の調整に働いています。


複数の皮膚感覚や深部感覚の情報を統合することにより、触っている物が何なのか、手の中にコインが何個入っているなど具体的な感覚情報を感じることができます。
この感覚を複合感覚といいます。


皮膚感覚

【触圧覚〔識別性・粗大〕】

【温度覚(温覚・冷覚)】


【痛覚】

深部感覚


【意識できる(意識性深部感覚)】

【意識できない(非意識性深部感覚)】

  • 位置覚(手脚の相対的な位置を認識できる感覚)
  • 運動覚(運動の方向を認識できる感覚)
  • 振動覚(振動を認識できる感覚)
  • 深部痛覚(骨膜・筋・腱などに強い圧迫や持続的な刺激が加わって生じる感覚)
複合感覚

複数の体性感覚が頭頂葉で統合でされることで、重さ・形など複雑な感覚情報を認識することが出来ます。

この感覚を複合感覚といいます。

  • 立体認知覚(物を触ったり握ったりすることで、その物を判断できる感覚)
  • 二点識別覚(皮膚を二点同時に触れた事を認識できる感覚)
  • 皮膚書字覚(皮膚上に書写された文字を認識できる感覚)
  • 部位覚(閉眼した状態で刺激された部位がどこか判断する感覚)
  • 重量覚 (重さについて感じる感覚) etc.


ゴロ 『2本足で立って無事に字を書けた』
2(二点識別覚)立(立体認知覚)無(部位覚)事(重量覚)書(皮膚書字覚)

皮膚感覚と深部感覚を図に当てはめると以下のようになります。


体性感覚の伝導路を大きく分けると

①脊髄視床路系
②後索路系(内側毛帯路)
③脊髄小脳路系

になります。


体幹や四肢の温度覚・痛覚および、触圧覚(粗大)は①脊髄視床路系によって視床に
触圧覚(識別性)・意識性深部感覚は②後索路系(内側毛帯路)によって視床に伝えられてた後、大脳皮質の感覚野に伝達されて、その情報が意識できます。


後索路系は名前に視床が含まれていませんが、こちらも視床を経由するので一緒に覚えましょう。


体幹や四肢の体性感覚が脊髄視床路によって伝えられるのに対して、顔面や口腔内の体性感覚は三叉神経(Ⅴ)により伝えられます。

三叉神経(Ⅴ)は眼神経・上顎神経・下顎神経が集まったものになります。
眼神経:額から眼球を支配
上顎神経:下瞼から頬・上唇・上歯茎を支配
下顎神経:下唇から下顎・下の歯茎・下の半分を支配

同じ痛み刺激でも、体幹と顔面で経路が違うため、顔面と上下肢の症状が同側に出るか、反対側になるかが変わってきます。




これに対し非意識性深部感覚は③脊髄小脳路系によって、無意識的に姿勢の維持や運動の調節に関与しています。


上行性伝導路(求心性伝導路)

求心性活動電位は、各受容器から3本の神経(第1次、第2次、第3次)を経由して大脳皮質に上行します。

第1次感覚神経細胞体は後根の脊髄神経節にあり、第2次感覚神経線維が左右の正中線を交叉して対側の脳へ上行する。

視床で第3次感覚神経線維にシナプスを形成し、感覚神経線維は内包を通過してから、大脳皮質頭頂葉の中心後回に投射します。


脊髄視床路:皮膚の温度感覚・痛覚、触覚の一部を視床に伝える伝導路
後索路:深部感覚、触覚の一部を延髄に伝える伝導路
脊髄小脳路:運動や姿勢維持などの調整に関与する伝導路



脊髄視床路系(外側脊髄視床路・前脊髄視床路)

脊髄視床路.001

脊髄視床路系は体幹や四肢の温度覚・痛覚および、触圧覚(粗大)情報を伝える経路です。
脊髄の側索を通る外側脊髄視床路【温度覚・痛覚】前索を通る前脊髄視床路【粗大触覚】があります。


感覚情報が脊髄後根から脊髄後角に入り白交連を交叉して、反対側の側索もしくは前索を上行して視床の後外側腹側核(VPL核)に到達します。


脊髄視床路系によって視床のVPL核まで伝えられた後、視床皮質路となり内包後脚を通り体性感覚野の体部位局在に伝達されます。


脊髄 断面図

1.前角。2.後角。3.灰白交連。4.前索。5.側索。6.後索。7.前白交連。8.前正中裂。9.後正中溝。10.中心管。11.前根。12.後根。13.後根神経節。
出典:File:Medulla spinalis – Section – English.svg – Wikimedia Commons




脊髄視床路

外側脊髄視床路:温度(温・冷)、痛覚
ゴロ『外に出ると温度が変わる』
外(外側脊髄視床路・側索)温度(温度覚)

前脊髄視床路:粗大触圧覚
ゴロ『腹の前で粗大ゴミを持つ』
前(前脊髄視床路・前索)粗大(粗大触圧覚)


外側脊髄視床路

(1)抹消性突起が受容器から感覚情報を受ける
(2)脊髄後根から脊髄後角に入り二次ニューロンに変わる
(3)白交連を通って交叉し、反対側の側索を上行して視床(VPL核)へ
(4)三次ニューロンに変わり体性感覚野の体部位局在に伝達

前脊髄視床路

(1)抹消性突起が受容器から感覚情報を受ける
(2)脊髄後根から脊髄後角に入り二次ニューロンに変わる
(3)白交連を通って交叉し、反対側の前索を上行して視床(VPL核)へ
(4)三次ニューロンに変わり体性感覚野の体部位局在に伝達



温度と痛みを感じる経路はなんで一緒?

冷覚や温覚が最もよく働くのは、約25℃〜35℃度前後の温度帯です。
この温度帯よりも温度が低くなったり高くなったりすると、痛覚のほうが反応して痛みを感じます。


後索路系(内側毛帯路)

後索路系は触圧覚(識別性)・意識性深部感覚情報を伝える経路で、脊髄後索内側の薄束(下肢)を通る経路脊髄後索外側の楔状束(上肢)を通る経路があります。


感覚情報が脊髄後根から入り同側の脊髄後索を上行します。


後索内では、胸髄以下からの繊維(下肢・体幹)は内側に集められ薄束を形成し、頸髄からの繊維(上肢)は楔状束を作り、延髄の後索核(薄束核・楔状束核)にニューロンを変えます。

その後、毛帯交叉で交叉して反対側の内側毛帯を形成して脳幹を上行して視床の後外側腹側核(VPL)に到達します。

後索路系によって視床のVPL核まで伝えられた後、視床皮質路となり内包後脚を通り体性感覚野の体部位局在に伝達されます。

後索路系(内側毛帯路

後索路:識別性触圧覚、意識性深部感覚

ゴロ 『工作は意識して触らないと!』
工作(後索路)意識(意識性)触(触圧覚)ない(内側毛帯)

ゴロ 『ケツ毛女子がズボンを履く』
ケツ(楔状束)女子(上肢)ズボン(下肢)履く(薄束)


後索路(内側毛帯路)

(1)抹消性突起が受容器から感覚情報を受ける
(2)脊髄後根から入り、そのまま後索を上行して延髄へ
(3)下肢は薄束を、上肢は楔状束を通る。
(4)延髄の後索核(薄束核・楔状束核)で二次ニューロンに変わり、毛帯交叉して反対側の内側毛帯を形成して上行し、視床
(5)三次ニューロンに変わり体性感覚野の体部位局在に伝達される



脊髄小脳路系

脊髄小脳路系は非意識性の深部感覚を伝えて無意識的に姿勢の維持や運動の調節に関与している経路で、下肢からの感覚を小脳に伝える前脊髄小脳路後脊髄小脳路上肢からの感覚を小脳に伝える副楔状束核小脳路があります。


下肢の深部感覚情報は脊髄後根から入り、第1胸髄〜第2腰髄の脊髄後角基部にある胸髄核(クラーク核)で二次ニューロンになります。

ここまでの経路は前脊髄小脳路と後脊髄小脳路で一緒です。

前脊髄小脳路(交叉性)は、白交連で交叉して反対側の側索前外側部を上行して、上小脳脚を通って小脳に到達します。

後脊髄小脳路(非交叉性)は、同側の側索後外側部を上行して、下小脳脚を通って小脳に到達します。

副楔状束核小脳路(非交叉性)は、上肢の深部感覚情報が脊髄後根から入り、同側の側索を上行して、延髄の副楔状束核で二次ニューロンとなり、下小脳脚を通って小脳に到達します。


脊髄小脳路系

脊髄小脳路:非意識性深部感覚
ゴロ『今日は足のバランスが悪い』
今日(胸髄核)足(下肢)バランス(非意識性深部感覚)

ゴロ『手でケツを拭く』
手(上肢)ケツを拭く(副楔状束核)



前脊髄小脳路

(1)抹消性突起が受容器から感覚情報を受ける
(2)脊髄後根から入り胸髄核(クラーク核)で二次ニューロンに変わる
(3)白交連で交叉して反対側の側索前外側部を上行する
(4)上小脳脚を通って小脳に到達

後脊髄小脳路

(1)抹消性突起が受容器から感覚情報を受ける
(2)脊髄後根から入り胸髄核(クラーク核)で二次ニューロンに変わる
(3)同側の側索後外側部を上行する
(4)下小脳脚を通って小脳に到達

副楔状束核小脳路

(1)抹消性突起が受容器から感覚情報を受ける
(2)脊髄後根から入り同側の側索を上行する
(3)延髄の副楔状束核で二次ニューロンに変わる
(4)下小脳脚を通って小脳に到達





類似問題

54A63 左上肢の感覚と伝導路が通る部位との組み合わせで正しいのはどれか。

  1. 圧覚 ー 左脊髄前索
  2. 位置覚 ー 右脊髄後索
  3. 温覚 ー 右脊髄後索
  4. 振動覚 ー 左脊髄側索
  5. 痛覚 ー 右脊髄側索

52P62 四肢からの感覚神経伝導路について正しいのはどれか。

  1. 触覚の繊維は中脳で交叉する。
  2. 圧覚の繊維は脊髄視床路を通る。
  3. 温度覚の繊維は脊髄節で交叉する。
  4. 一次ニューロンの細胞体は後角にある。
  5. 痛覚の伝導路は延髄で二次ニューロンになる。

51A55 痛覚の脊髄視床路で正しいのはどれか。

  1. 薄束
  2. 楔状束
  3. 赤核脊髄路
  4. 外側脊髄視床路
  5. 外側皮質脊髄路

49P62 複合感覚に含まれないのはどれか。

  1. 重量覚
  2. 部位覚
  3. 立体覚
  4. 関節位置覚
  5. 二点識別覚

48A55 下行性の神経繊維が通るのはどれか。

  1. 薄束
  2. 錐体
  3. 楔状束
  4. 内側毛帯
  5. 外側毛帯

47P63 脊髄後索の損傷によって生じるのはどれか。2つ選べ。

  1. 部位覚障害
  2. 位置覚障害
  3. 温痛覚解離
  4. 振動覚障害
  5. Babinski徴候

46P53 温痛覚の伝導路はどれか。

  1. 前皮質脊髄路
  2. 後脊髄小脳路
  3. 前脊髄小脳路
  4. 前脊髄視床路
  5. 外側脊髄視床路

44-28 正しいのはどれか。

  1. 味覚は体性感覚である。
  2. 脊髄視床路は深部感覚を伝達する。
  3. 第一次体性感覚野は中心後回にある。
  4. 第一次体性感覚野では足よりも手の再現領域が狭い。
  5. 四肢切断後に第一次体性感覚野の体部位局在は変化しない。

41-11 脊髄の解剖で誤っている組み合わせはどれか。

  1. 外側脊髄視床路 ー 温痛覚
  2. 外側皮質脊髄路 ー 随意運動
  3. 前脊髄視床路 ー 非識別性触覚
  4. 後索 ー 深部覚
  5. 前庭脊髄路 ー 二点識別覚

39-24 痛覚について正しいのはどれか。

  1. 自由神経終末は侵害受容器である。
  2. Aδ繊維の伝導速度はC繊維よりも遅い。
  3. 脊髄後索を上行する。
  4. 視床下部で中継される。
  5. 皮質は痛みの認識に関与しない。

37-18 痛覚系でないのはどれか。

  1. 自由神経終末
  2. 脊髄後角
  3. 外側脊髄視床路
  4. 内側毛帯
  5. 視床

32-2 誤っているのはどれか。

  1. 脊髄視床路は外側と腹側に分かれる。
  2. 後索は延髄下部で交差する。
  3. 脊髄小脳路は前索を通る。
  4. 網様体脊髄路は脳幹と脊髄とを結ぶ。
  5. 皮質脊髄路は大脳皮質と脊髄前角細胞とを結ぶ。
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