過去の出題傾向
押さえておきたいPoint!!
- 表皮の5層構造のなまえ
- 真皮には感覚受容器が存在しているか
- 皮下組織の構成
- 立毛筋の場所と筋組織
- エクリン腺とアポクリン腺の違い
皮膚
感覚器系は外部からの刺激を受容する器官で皮膚・目・耳・鼻・舌があります。
皮膚の表面には、隆起と溝が規則的に並んでおり、これが指紋・掌紋・足底紋を作ります。
胎児のときに形成された指紋が一生変わらないことから、個人の認識にも応用されており、指紋があることにより、物を握るときや歩くときの滑り止めに役立っています。
また、皮膚の表面積が広くなるため、神経の知覚効果を高めています。
手掌の面積は体全体の面積の約1%にあたる(手掌面積の法則)ため、これをもとに熱傷を受けた皮膚の損傷面積を正確に見積もることができます。
成人の熱傷面積を評価する「9の法則」や、小児の熱傷面積を評価する「5の法則」があります。
皮膚の構造
皮膚は表面から表皮・真皮・皮下組織の3層から構成され、皮膚の厚さは表皮の角質化によって異なってきます。
それぞれの層に触覚、圧覚、痛覚、温覚、冷覚などの皮膚感覚を感じるための感覚受容器が分布しています。
表皮
表皮は最表層になる重層扁平上皮になり5層(もしくは4層)に分けられます。
外側から角質層・淡明層・顆粒層・有棘層・基底層(胚芽層)に区分されます。
手掌と足底は、角質層と顆粒層の間に淡明層が存在するため5層構造になります。
角質層はケラチンというタンパク質を蓄積して硬くなり、角化して死んだ細胞が表面から垢として剥がれ落ちていきます。
内側には中間層として淡明層と顆粒層があり、さらに内側に有棘層と胚芽層があります。
胚芽層では細胞分裂が行われており、分裂した上皮細胞はしだいに上行していき、新しい皮膚へと変わっていきます。
これを「ターンオーバー」といいます。
出典:皮膚の構造 著者:わたあめ。(イラストAC)
表皮は表層から角質層・淡明層・顆粒層・有棘層・基底層(胚芽層)に区分されます。
ゴロ 『肩かゆい』
か(角質層)た(淡明層)か(顆粒層)ゆ(有棘層)い(基底層)
真皮
真皮は膠原線維や弾性線維、血管に富む結合組織からなります。
浅層の乳頭層と深層の網状層からなり、乳頭層は豊富な血管や感覚神経を含み、上層の表皮に向かって乳頭状に突き出します。
網状層は、汗腺・毛包・脂腺・血管・神経を含んでいます。
乳頭層は表皮方向への突出部位である乳頭に、網状層は膠原線維束が網目状であることに由来しています。
出典: File:Skin layers.png 著者:ヤマトケム (表示 – 継承 3.0 )
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jpn_skin_layers.PNG
皮下組織
皮下組織は疎性結合組織からなり、多量の脂肪細胞を有しています。
脂肪細胞は皮下脂肪として、栄養の蓄積や体温の放散を防ぐ保湿作用や、外力に対して衝撃を和らげる働きがあります。
女性の特徴として、乳房・臀部・大腿部などでより発達します。
毛
毛は手掌・足底・小陰唇などを除いて、全身の皮膚に存在しており皮膚うの保護や保湿に役立っています。
毛根の末端には球根のように膨らんだ毛球があり、その中に毛乳頭が存在しています。
毛乳頭は皮膚の乳頭に相当し、血管に富み毛の成長を司っています。
毛根の被膜は毛包といい、立毛筋と脂線が付属します。
立毛筋は自分で動かすことの出来ない不随意筋(平滑筋)で、毛穴の引き締める働きがあります。
交感神経が優位になることで生じる”鳥肌”は、この立毛筋の収縮により体毛が垂直方向に隆起する現象です。
著者:うなぎちゃん (イラストAC)(一部改変)
爪
爪は表皮の角質層が変化して鱗のように変形したもので、基底層(胚芽層)から成長していきます。
爪があるために指尖の損傷を防いだり、小さい物を容易につまむことが出来ます。
汗腺
汗腺の分泌部は真皮と皮下組織にあり、糸球のように巻いた構造になっています。
導管により表皮に貫いて表面に開口します。
毛と無関係に存在するエクリン汗腺(小汗腺)と毛根部に存在するアポクリン汗腺(大汗腺)の2種類があります。
- エクリン腺
-
全身に広く分布し、汗を体表に分布します。(特に手掌・足底に分布)
大部分が水分で、体温調整や代謝産物の排泄という働きがあります。 - アポクリン腺
-
腋窩・乳輪・外耳道・肛門周囲などの特定の部位に分布します。
タンパク質や脂肪を含む汗を分泌します。
これが分解されると特有の匂いを発するため体臭の原因になります。
分泌は思春期に活発になり、精神的要因にも関わってきます。
体温調整とは無関係であり、異性をひきつける作用があると言われています。
類似問題
51A60 皮膚について誤っているのはどれか。
- 立毛筋は横紋筋である。
- 表皮には基底層が含まれる。
- 真皮には感覚受容器が分布する。
- エクリン腺は全身の皮膚に分布する。
- 皮下組織は脂肪細胞で占められている。
解答と解説
解答1
- ×
立毛筋は自分で動かすことの出来ない不随意筋(平滑筋)で、毛穴の引き締める働きがあります。 - ○
表皮は表層から角質層・淡明層・顆粒層・有棘層・基底層(胚芽層)に区分されます。 - ○
真皮には豊富な血管と感覚神経受容器が分布しています。 - ○
エクリン汗腺(大汗腺)は全身に分布し、汗を体表に分布します。 - ○
皮下組織は、多量の脂肪細胞を有しておりエネルギーの蓄積や体温の放散の防止に働いています。
40-16 皮膚について誤っているのはどれか。
- 表皮には基底細胞層が含まれる。
- 立毛筋は横紋筋である。
- 真皮には感覚受容器が分布する。
- 皮下組織は脂肪細胞で占められている。
- エクリン腺は全身の皮膚に分布する。
解答と解説
解答2
- ○
表皮は表層から角質層・淡明層・顆粒層・有棘層・基底層(胚芽層)に区分されます。 - ×
立毛筋は自分で動かすことの出来ない不随意筋(平滑筋)で、毛穴の引き締める働きがあります。 - ○
真皮には豊富な血管と感覚神経受容器が分布しています。 - ○
皮下組織は、多量の脂肪細胞を有しておりエネルギーの蓄積や体温の放散の防止に働いています。 - ○
エクリン汗腺(大汗腺)は全身に分布し、汗を体表に分布します。
33-19 皮膚で誤っているのはどれか。
- 表皮には乳頭層が含まれる。
- 立毛筋は真皮にある。
- エクリン汗器官は全身皮膚に分布する。
- アポクリン汗器官は腋窩、外陰部に分布する。
- 爪は表皮の角質層が変化したものである。
解答と解説
解答1
- ×
表皮は表層から角質層・淡明層・顆粒層・有棘層・基底層(胚芽層)に区分されます。
乳頭層は真皮に含まれます。 - ○
毛根の被膜は毛包といい、立毛筋と脂線が付属します。
立毛筋は真皮に位置します。 - ○
エクリン汗腺(小汗腺)は全身に分布し、汗を体表に分布します。 - ○
アポクリン腺(大汗腺)は腋窩・乳輪・外耳道・肛門周囲などの特定の部位に分布し、タンパク質や脂肪を含む汗を分泌します。 - ○
爪は表皮の角質層が変化して鱗のように変形したもので、基底層(胚芽層)から成長していきます。
著者:うなぎちゃん (イラストAC)(一部改変)
- 『解剖学 第5版(標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野) 』(出版社:医学書院)
- 『からだの動きの解剖生理学』 (出版社:金芳堂)
- 『休み時間の解剖生理学』 (出版社:講談社)
- 『新しい皮膚科学:第3版 』(著者:清水 宏)
- 『Nursing Today がんの親と子どもをチームで支える 2014年12月号 アセスメント力をたたかめるフットケア』
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