頭部MRIにおける脳解剖 (44-20)

頭部MRIにおける脳解剖

頭部MRI正中矢状断像でみられないのはどれか。

  1. 脳梁
  2. 下垂体
  3. 松果体
  4. 第四脳室
  5. 小脳歯状核







目次

解説

この問題をとく上では、矢状面前額面正中面がどのような切り方をした断面なのか、そして脳部位の位置関係を理解していなければいけません。

脳は三次元の立体構造をしているので、MRI画像ではどの方向からの断面か、またどの部分なのかによって見える構造が異なります。

どの断面で出題されても正答できるように三次元的に理解しておきましょう。


  1. 矢状面:身体を左右に分ける面
    矢状面の中で身体の正中で分ける面は「正中矢状面」と呼ぶ。
  2. 前額面:身体を前後に分ける面
    別名で前頭面や冠状面と呼ばれることもある。
  3. 水平面:身体を上下で分ける面
    別名で横断面と呼ばれることもある。


横断面

出典:Human anatomy planes.svg 著者:YassineMrabet (CC BY-SA 3.0)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Human_anatomy_planes-JA.svg



「正中矢状面」は身体を正中で分けた断面なので、正中線上にある臓器しかMRIには写りません。

それでは、それぞれの臓器の位置関係を照らし合わせてみましょう。

1. 脳梁

脳梁は大脳の正中にあり、左右の大脳半球皮質を連結する交連繊維の束です。

左右の脳を結合しているわけですから正中に存在しています。

同じく交連繊維である脳弓も正中矢状面で確認することができます。


2. 下垂体

下垂体は視床下部の下方に突出しており視床下部漏斗によって連結されています。

腺性下垂体(前葉・中間部)と神経性下垂体(後葉)からなり、後者は視床下部からの神経情報をもとに後葉ホルモン(バソプレシン・オキシトシン)が放出されています。

下垂体は正中矢状面に対して対照的な構造をしています。


3. 松果体

松果体は間脳の後方に突出しており視床の後方、第三脳室の後壁に隣接して存在しています。

メラトニンやセロトニンを生成し睡眠や概日リズム(体内時計)および、性成熟(性腺刺激ホルモン)の放出を抑制しています。

目からの情報をもとに、松果体が日内リズムの調整を行っているため「第三の眼」と呼ばれています。

松果体も正中矢状面に対して対照的な構造をしています。

出典:間脳のおはなし Akira Magazine
https://www.akira3132.info/diencephalon.html



4. 第四脳室

中枢神経の内部に広がる4つの空間を脳室といいます。

脳室内部には脳脊髄液’(髄液)で満たされており、全身で約150ml存在しています。

この髄液は脈絡叢から一日約500ml産生されています。

なので一日に約3~4回髄液が入れ替わっているということになります。


髄液の流れ
STEP
側脳室

左右の大脳半球に存在しており一対になっています。
側脳室の脈絡叢から産生された髄液が、室間孔(モンロー孔)を通り第三脳室に入ります。

STEP
第三脳室

間脳の正中部に存在しており、第三脳室の脈絡叢から産生された髄液と合わさり中脳水道に入ります。

STEP
中脳水道

名前の通り中脳の正中深部を貫くように存在しています。
脈絡叢はみられず髄液は次いで第四脳室に入ります。

STEP
第四脳室

橋・延髄の背側、小脳の腹側にあり、第四脳室の脈絡叢から産生された髄液と合わさり下方の中心菅に次ぎます。
また第四脳室の正中口(マジャンディー孔)、前外側には左右の外側口(ルシュカ孔)と呼ばれる3ヶ所の出口があり、くも膜下腔に入ります。

STEP
くも膜下腔

くも膜下腔に入った髄液は硬膜静脈洞(上矢状静脈洞)のくも膜下粒から吸収され静脈系に入ります。


この経路のいずれかが詰まる事により水頭症を生じます。




脳室系の中では第三脳室、中脳水道、第四脳室は正中に存在しており、正中矢状面に対して対照的な構造をしています。


側脳室も左右一対になっていますが、正中には存在しないのでMRIの正中矢状面では確認できません。


5. 小脳歯状核

小脳は橋と延髄の背側にあり第四脳室の天井をつくりながら大きく左右に膨らんでおり、脳幹と三対の小脳脚上小脳脚中小脳脚下小脳脚)で結合しています。

正中部の細長い虫部と左右の大きく隆起した半球からなります。

小脳皮質は表面(灰白質)は表層から深層に向かって、分子層神経細胞層(プルキンエ細胞)顆粒層に区分されています。

深部(白質)には4つの小脳核が存在し、それぞれ室頂核球状核栓状核歯状核があります。

これらはすべて出力核であり随意運動の調整と体の平衡の保持・姿勢の調整を行っています。


小脳核

楽楽痛み研究会より引用

小脳の断面図を見ると判りやすいですが、小脳核はすべて正中にはありません。

なので、MRI画像の正中矢状面では「小脳歯状核」は写らないという事になります。

小脳虫部は正中にあるので確認できますね。

>>小脳の構造と機能の解説はこちらから




類似問題

52A77 頭部MRIのT1強調冠状断像の矢印の部分はどれか。

52ptam77
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50A53 頭部MRIのT2強調画像で海馬はどれか。

50ptam53

43-20 頭部MRIで正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 第3脳室
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  3. 松果体
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  5. 第4脳室
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