過去の出題傾向
押さえておきたいPoint!!
- 中脳に存在する神経核
- 大脳脚と中脳蓋の位置関係
- 黒質の位置関係
- 皮質脊髄路が通る場所
- 小脳脚との連結
- 中脳横断面の解剖図(上丘レベル・下丘レベル)
中脳の構造
中脳は間脳(視床・視床下部)と橋の間に存在しています。
正中の深部には、第三脳室と第四脳室をつなぐ中脳水道があり脳脊髄液の通り道になっています。
この中脳水道を囲む灰白質は中心灰白質と呼ばれ、背側を中脳蓋、腹外側に突出した部位を大脳脚、黒質と中脳蓋の間の中脳被蓋にわかれています。
- 中脳蓋
-
四丘体 ①上丘(視覚伝導路)②下丘(聴覚伝導路)
- 大脳脚
-
中央部に錐体路、両側を皮質橋路が走行
- 中脳被蓋
-
赤核と黒質が存在
①赤核:小脳と脊髄を中継して運動調節を行う
②黒質:随意運動での筋緊張の調節を行う
File:Horizontal section of mibrain-superior colliculus-ja.svg – Wikimedia Commons
出典:File:Horizontal section of mibrain-superior colliculus-ja.svg – Wikimedia Commons
中脳蓋は上丘と下丘という半球状の膨らみが上下に1対ずつあり、これらを合わせて四丘体といいます。
丘のような半球上の膨らみが4つあるわけですから、四丘体とういう名前は覚えやすいですね。
上丘には動眼神経核(Ⅲ)があり、視神経繊維の一部を受けて視覚反射路の形成に関与しており、障害により上方注視麻痺を生じると言われています。
下丘には滑車神経核(Ⅳ)があり、中脳水道の後方で滑車神経が交叉しているためここの障害により滑車神経神経麻痺を生じます。
また、蝸牛神経核や上オリーブ複合体などから情報を受け、聴覚反射路の形成に関与しているため、下丘の障害では難聴を伴います。
大脳脚は左右一対の突出であり、大脳皮質から発した下行性繊維からなります。
この中央部には錐体路系の繊維によって占められており、片側の障害で半身麻痺をきたします。
両側は大脳皮質から橋に下行する皮質橋路の繊維が走っています。
この神経繊維は橋核で橋小脳路に中継され、中小脳脚を通り対側の小脳皮質に至ります。
橋小脳路はその後、苔状繊維そして平行線維となりプルキンエ細胞へ興奮性の信号を送ります。
点と点の記憶を繋げて、線として理解して覚えましょう。
中脳被蓋の両側中央には赤核が存在しています。
上丘レベルに存在しており、下丘レベルの画像では確認できないので間違えないようにしましょう。
赤核は大脳皮質や小脳核からの情報を受け、延髄の下オリーブ核や脊髄に繊維を送り運動制御に働いています。
そのため赤核の障害により舞踏病やアテトーゼをきたします。
中脳被蓋の外側部には脊髄視床路、内側毛体路、三叉神経毛帯、三叉神経中脳路などの感覚神経路が密集しており、ここの障害により感覚障害を生じます。
上丘には動眼神経核(Ⅲ)とその付近に動眼神経副核(エディンガー・ウェストファル核)
下丘には滑車神経核(Ⅳ)、中脳被蓋には錐体外路系に属する赤核があります。
黒質は大脳脚の背側に存在しており大脳基底核の一つになります。
メラニン色素を多く含む黒質緻密部と、メラニン色素を持たない黒質網様部があり、黒質緻密部からは脳内神経伝達物質であるドパミンが作られています。
黒質緻密部と黒質網様部は運動を制御する経路の「直接路」と「間接路」にそれぞれ関係しています。
- 直接路
-
線条体から淡蒼球内節と黒質網様部に直接連絡
- 間接路
-
線条体から淡蒼球外節と視床下核を経て淡蒼球内節と黒質網様部に連絡
淡蒼球は淡蒼球内節と淡蒼球外節に分けられ、中脳黒質はドーパミン神経を含む黒質緻密部とGABA神経からなる黒質網様部に分けられます。
類似問題
54A53 脳の解剖で誤っているのはどれか。
- 黒質は中脳にある。
- 海馬は側頭葉にある。
- 中小脳脚は中脳と小脳を連絡する。
- 脳梁は左右の大脳半球を連絡する。
- 中心溝は前頭葉と頭頂葉の間にある。
解答と解説
解答3
- ○
黒質は中脳の大脳脚の背側にある神経核であり、中脳被蓋と大脳脚の間に位置しており、随意運動での筋緊張の調整を行なっています。 - ○
海馬は側頭葉の内側面に隆起しており、タツノオトシゴのような形をしています。
様々な記憶に関与していますが、特に短期記憶に関連していると言われています。 - ×
中小脳脚は最も大きな小脳脚で橋と連結しています。 - ○
脳梁は大脳の中心にあり、左右の大脳半球皮質を連結する交連繊維の束です。 - ○
中心溝によって前頭葉と頭頂葉に分かれます。
- ①上小脳脚:中脳と連結
-
小脳から視床核(間脳)・赤核に向かう遠心性繊維〔小脳赤核路、小脳視床路〕
一部は前脊髄小脳路のような小脳に入る繊維も含まれる。 - ②中小脳脚:橋と連結
-
最も大きな小脳脚で反対側の橋核から小脳に向かう求心性繊維〔橋小脳路〕
- ③下小脳脚:延髄と連結
-
脊髄や延髄から小脳に向かう求心性繊維〔後脊髄小脳路、オリーブ小脳路〕
小脳から発して前庭神経核に至る繊維も含まれる。
53P54 中脳について誤っているのはどれか。
- 黒質は被蓋と大脳脚との間に位置する。
- 皮質脊髄路は被蓋を通過する。
- 上小脳脚で小脳に連絡する。
- 大脳脚は腹側に位置する。
- 中脳蓋は背側に位置する。
解答と解説
解答2
1.○
中脳は背側から中脳蓋、中脳被蓋、大脳脚に分かれています。
黒質は大脳脚の背側にある神経核であり、中脳被蓋と大脳脚との間に位置しています。
2.×
皮質脊髄路は延髄の腹側に錐体と呼ばれる運動性伝導路をつくる神経線維の束でできた膨らみを通ることから錐体路とも呼ばれていますが、中脳では大脳脚を通過します。
中脳被蓋には赤核があり運動制御系の神経経路、また被蓋の外側部には感覚神経路が通過しています。
3.○
小脳は神経繊維である3つの小脳脚によって、脳幹と連結しています。
中脳とは上小脳脚によって小脳と連結しています。
4.○
中脳は背側から中脳蓋、中脳被蓋、大脳脚に分かれており腹側には大脳脚が位置しています。
大脳脚は皮質脊髄路(錐体路)が通過する部位であり、この皮質脊髄路は脳幹(中脳・橋・延髄)の腹側を通過しています。
5.○
中脳は背側には中脳蓋が位置しており、四丘体(上丘・下丘)が存在しています。
50A54 中脳レベルの横断面の模試図を示す。錐体路はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
解答と解説
解答5
- × 上丘
- × 赤核
- × 黒質
- × 動眼神経核
- ○ 大脳脚
47A55 中脳にあるのはどれか。
- 疑核
- 赤核
- 孤束核
- 歯状核
- オリーブ核
解答と解説
解答2
- × 疑核は延髄にあります。
- ○ 赤核は中脳にあります。
- × 孤束核は延髄にあります。
- × 歯状核は小脳にあります。
- × オリーブ核は延髄にあります。
延髄にある神経核として、疑核と孤束核は過去出題歴はあまりありませんが、オリーブ核は運動中の誤差情報を小脳に送り学習・内部モデルの生成に寄与している需要な神経核になるので覚えておきましょう。
小脳に存在する神経核
小脳深部(白質層)には4つの小脳核、内側から外側に向かって室頂核、球状核、栓状核、歯状核があります。
- ゴロ 「外から四川で救出」
-
四(歯状核)川(栓状核)で救(球状核)出(室頂核)
※外側から内側に向かっての順番になるため、この順で覚える事に解剖学的位置関係も頭に入りやすいと思います。
36-11 中脳について誤っているのはどれか。
- 上小脳脚で小脳に連絡する。
- 黒質は被蓋と大脳脚との間に位置する。
- 皮質脊髄路は被蓋を通過する。
- 中脳蓋は背側に位置する。
- 大脳脚は腹側に位置する。
解答と解説
解答3
- ○
小脳の上小脳脚は中脳と、中小脳脚は橋と、下小脳脚は延髄と連結しています。 - ○
中脳は背側から中脳蓋、中脳被蓋、大脳脚に分かれています。
黒質は大脳脚の背側にある神経核であり、中脳被蓋と大脳脚との間に位置しています。 - ×
皮質脊髄路は延髄の腹側に錐体と呼ばれる運動性伝導路をつくる神経線維の束でできた膨らみを通ることから錐体路とも呼ばれていますが、中脳では大脳脚を通過します。
中脳被蓋には赤核があり運動制御系の神経経路、また被蓋の外側部には感覚神経路が通過しています。 - ○
中脳は背側には中脳蓋が位置しており、四丘体(上丘・下丘)が存在しています。 - ○
中脳は背側から中脳蓋、中脳被蓋、大脳脚に分かれており腹側には大脳脚が位置しています。
大脳脚は皮質脊髄路(錐体路)が通過する部位であり、この皮質脊髄路は脳幹(中脳・橋・延髄)の腹側を通過しています。
34-9 中脳にないのはどれか。
- 乳頭体核
- 黒質
- 赤核
- 被蓋
- 動眼神経核
解答と解説
解答1
- × 視床下部の底部に乳頭体と呼ばれる隆起があり、その先端に下垂体がついています。
- ○ 黒質は大脳脚の背側に存在しており大脳基底核のひとつになります。
- ○ 中脳被蓋の両側中央には赤核が存在しています。
- ○ 黒質と中脳蓋の間に中脳被蓋が存在しています。
- ○ 上丘には動眼神経核(Ⅲ)があり、視神経繊維の一部を受けて視覚反射路の形成に関与しています。
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