中枢神経系の系統発生と分化(一次脳胞・二次脳胞)

中枢神経系の系統発生と分化
目次

42P10 中枢神経系の系統発生と分化で正しいのはどれか。

  1. 海馬は大脳皮質で最も新しい。
  2. 小脳半球は虫部より新しい。
  3. 線条体は間脳に属する。
  4. 橋は中脳から分化した。
  5. 延髄は脊髄から分化した。









解説

海馬は大脳皮質で最も新しい。 ×

大脳皮質は系統発生学的に新しい新皮質と、古い「古皮質や「原皮質に分類されます。


①系統発生学的に最も新しい新皮質は情報処理や思考・判断を司っており頭頂葉、後頭葉、側頭葉、前頭葉からなります。

②2番目に古い古皮質は嗅覚に関係する皮質で嗅球や梨状野からなります。

③最も古い原皮質は動物にも共通する情動や本能などの機能を担っており歯状回、海馬、海馬台が存在し、この3つを合わせて海馬体といいます。


つまり、海馬は大脳皮質で最も古い古皮質にあたります。

小脳半球は虫部より新しい。 ○

小脳は正中のやや細長い小脳中部と左右に膨張している小脳半球の内外側の区分と、第1裂と後外側裂により前葉・後葉、および片葉小節葉に区分されます。


系統発生学的に新しい順から新小脳」「古小脳」「原小脳となります。


①新小脳:半球
橋核と介し大脳皮質運動野から運動指令を受けるためヒトで最も発達しており小脳後葉に一致します。

②古小脳:虫部
虫部と中間帯の吻合部や尾側部からなり、脊髄から身体の深部感覚情報を受けます。
小脳前葉に一致します。

③原小脳:片葉小節葉
小脳で最も原始的な部分であり内示の前庭器から平衡感覚情報を受けます。


系統発生的な区分と小脳と他の中枢神経系との入力系・出力系の機能的区分が一致しており、
それぞれ新小脳=橋小脳古小脳=脊髄小脳原小脳=前庭小脳と呼ばれています。


つまり、古小脳にあたる中部より新小脳にあたる小脳半球の方が新しいという事になります。

線条体は間脳に属する。 ×

終脳(大脳半球)と間脳を合わせて神経解剖学的に大脳を指します。

この間脳は視床上部視床視床下部からなり、脳幹の中で第3脳室を囲むように存在しています。

位置関係が間違いやすいですが、間脳の後方からは松果体が突出しており、視床下部からは下垂体が延びています。


線条体は大脳基底核の尾状核+被殻を指します。




この大脳基底核は終脳(大脳半球)にあたります。


つまり、線条体は終脳(大脳半球)に属するという事になります。

橋は中脳から分化した。 ×

延髄は脊髄から分化した。 ×

外胚葉から分化した神経板は、受精後第4週に胚子内に落ち込み、神経溝が閉鎖する事により神経管が形成されます。

この神経管の最前部では3つの膨らみが形成され、これを一次脳胞形成期と呼び、吻側より「前脳胞」「中脳胞」「菱脳胞」に区別されます。


さらに、受精後第6週には二次脳胞形成期となり、前脳胞からは終脳胞間脳胞、中脳胞からは中脳胞、菱脳胞からは後脳胞髄脳胞の5つの脳胞が形成されます。


これらの脳胞のうち、早期に菱脳胞が大きくなり、次に中脳胞と続いていきます。


前脳胞は胎生の後半において急速に発育を遂げます。

延髄 ➭ 橋・小脳 ➭ 中脳 ➭ 間脳 ➭ 終脳



脳の発育と共に終脳、間脳、菱脳の内腔が拡大して、それぞれ側脳室、第3脳室、第4脳室になります。

中脳胞や髄脳胞の内腔は細いままであり、中脳水道と中心菅になります。


つまり、橋は後脳胞から分化し延髄は髄脳胞から分化したとなります。


中枢神経の系統発生の覚え方

類似問題

31-2  中枢神経系の発生過程で菱脳に属するのはどれか。

  1. 基底核
  2. 視床
  3. 四丘体
  4. 小脳
  5. 松果体
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