過去の出題傾向
押さえておきたいPoint!!
- よく出題される触知できる動脈
- 収縮期血圧80,70,60mmHg以下で触知困難になる動脈
触知できる動脈の名前だけ覚えていれば解ける問題が多かったですが、近年では触知部位や画像問題も出題されるようになったため、自分のからだを使いながら触知できる動脈を覚えましょう。
脈拍とは
脈拍とは心臓の収縮によって、からだの各部血管が拍動することを言います。
からだの隅々まで血液が行き渡っているかの指標になり、不整脈や運動強度の評価にも用いられます。
体表から触知できる動脈
脈拍は体表近くを走行する動脈で触知することができ、橈骨動脈で行うのが一般的です。
橈骨動脈で脈の触知できれば、それより手前の動脈には血液が届いていることになります。
収縮期血圧が80mmHg 以下になると橈骨動脈で脈が触れなくなるため、手前の上腕動脈や総頸動脈での触知が必要になります。
- 血圧80mmHg以下で橈骨動脈の触知困難
- 血圧70mmHg以下で大腿動脈の触知困難
- 血圧60mmHg以下で総頸動脈の触知困難
糖尿病や心不全の場合では、下肢の虚血や浮腫が症状としてみられるため、足背動脈や後脛骨動脈の触知が必要になります。
そのほかにも、体表から触知できる動脈は表に示す通り、たくさんあります。
動脈 | 触知部位 |
---|---|
浅側頭動脈 | 外耳孔の前方 |
総頸動脈 | 胸鎖乳突筋の前縁 |
顔面動脈 | 下顎角の前方 |
鎖骨下動脈 | 鎖骨内側1/3 |
腋窩動脈 | 腋窩 |
上腕動脈 | 上腕前面の尺側部 |
橈骨動脈 | 前腕掌側面の外側遠位部 |
尺骨動脈 | 前腕掌側面の内側遠位部 |
大腿動脈 | 大腿三角内(Scarpa三角内) |
膝窩動脈 | 膝の裏 |
前脛骨動脈 | 前脛骨筋と長母指伸筋の間の深部 |
後脛骨動脈 | 内果の後方 |
足背動脈 | 長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間 |
※顔面動脈と前脛骨動脈以外は設問として過去出題されています。
自分の血管で触知しながら覚えよう!
体表から触知できない動脈
体表から触知できない動脈として、椎骨動脈や総腸骨動脈などが、触知できない動脈として選択肢に含まれることが多いため注意しましょう。
類似問題
56P58 動脈と脈拍の触知部位との組合せで正しいのはどれか。
1.総頸動脈 ―――― 胸鎖乳突筋の前縁
2.上腕動脈 ―――― 上腕二頭筋腱の外側縁
3.橈骨動脈 ―――― 前腕掌側面の内側近位部
4.大腿動脈 ―――― 鼠径部の腸腰筋の外側
5.足背動脈 ―――― 外果の後方
解答と解説
解答1
1.○ 総頸動脈は胸鎖乳突筋の前縁で触知できます。
2.×上腕動脈は上腕前面の尺側部で触知できます。
内側二頭筋溝から肘窩までの全域で触知することができます。
3.× 橈骨動脈は前腕掌側面の外側遠位部で触知できます。
4.× 大腿動脈は大腿三角内(Scarpa三角内)で触知できます。
鼠径靭帯・縫工筋・長内転筋で作られる三角を大腿三角(Scarpa三角)といいます。
大腿三角内には血管、神経、筋肉などが通過しています。
中心位置に内側から大腿静脈、大腿動脈、大腿神経が並んでいます。
大腿動脈の外側に腸腰筋が、内側に大内転筋や恥骨筋が存在しています。
5.×足背動脈は長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間で触知できます。
55P56 動脈と触知可能な部位との組合せで誤っているのはどれか。
1.上腕動脈 ―――― 上腕二頭筋後内側縁
2.橈骨動脈 ―――― 前腕掌側面の外側遠位部
3.大腿動脈 ―――― Scarpa 三角内
4.足背動脈 ―――― 足背の長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間
5.後脛骨動脈 ――― 外果後方
解答と解説
解答5
1.○ 上腕動脈は上腕二頭筋後内側縁(上腕前面の尺側部)で触知できます。
内側二頭筋溝から肘窩までの全域で触知することができます。
2.○ 橈骨動脈は前腕掌側面の外側遠位部で触知できます。
3.○ 大腿動脈は大腿三角内(Scarpa三角内)で触知できます。
鼠径靭帯・縫工筋・長内転筋で作られる三角を大腿三角(Scarpa三角)といいます。
4.○ 足背動脈は長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間で触知できます。
5.× 後脛骨動脈は内果の後方で触知できます。
53P60 動脈と脈拍の触知部位との組み合わせで正しいのはどれか。
1. 浅側頭動脈 ー 外耳孔の後方
2. 総頸動脈 ー 胸鎖乳突筋の外縁
3. 上腕動脈 ー 上腕遠位部の上腕二頭筋腱の外側
4. 大腿動脈 ー 鼠径部の腸腰筋の外側
5. 足背動脈 ー 足背の長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間
解答と解説
解答5
1.× 浅側頭動脈は外耳孔の前方で触知できます。
2.× 総頸動脈は胸鎖乳突筋の前縁で触知できます。
3.× 上腕動脈は上腕二頭筋後内側縁(上腕前面の尺側部)で触知できます。
内側二頭筋溝から肘窩までの全域で触知することができます。
4.× 大腿動脈は大腿三角内(Scarpa三角内)で触知できます。
鼠径靭帯・縫工筋・長内転筋で作られる三角を大腿三角(Scarpa三角)といいます。
大腿三角内には血管、神経、筋肉などが通過しています。
中心位置に内側から大腿静脈、大腿動脈、大腿神経が並んでいます。
大腿動脈の外側に腸腰筋が、内側に大内転筋や恥骨筋が存在しています。
5.○ 足背動脈は長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間で触知できます。
50A60 動脈の触診部位で誤っているのはどれか。
- 鎖骨下動脈
- 上腕動脈
- 橈骨動脈
- 膝窩動脈
- 足背動脈
解答と解説
解答5
1.○ 鎖骨下動脈は鎖骨部内側1/3の位置で触知できます。
2.○ 上腕動脈は内側二頭筋溝から肘窩までの全域で触知することができます。
3.○ 橈骨動脈は前腕掌側面外側遠位部で触知できます。
4.○ 膝窩動脈は膝関節背側の膝窩で触知できます。
5.× 足背動脈は長母子伸筋腱と長指伸筋腱の間で触知できます。
43P19 体表から拍動を触知できないのはどれか。
- 総頸動脈
- 橈骨動脈
- 大腿動脈
- 膝窩動脈
- 総腸骨動脈
解答と解説
解答5
1.○
2.○
3.○
4.○
5.× 総腸骨動脈は骨盤内深層に存在しているため、拍動を触知できません。
41P15 触診部位で誤っているのはどれか。
- 浅側頭動脈————外耳孔の前方
- 上腕動脈—————上腕前面橈側部
- 橈骨動脈—————前腕掌側外側遠位部
- 大腿動脈—————大腿三角内
- 後脛骨動脈————足関節内果後方
解答と解説
解答2
1.○
2.× 上腕動脈は上腕前面の尺側部で触知できます。
3.○
4.○
5.○
33P13 体表から触知できないのはどれか。
- 浅側頭動脈
- 椎骨動脈
- 腋窩動脈
- 後脛骨動脈
- 足背動脈
解答と解説
解答2
1.○
2.× 椎骨動脈は頸部から頭部深層に存在するため触知できません。
3.○
4.○
5.○
32P14 体表から拍動を触知できないのはどれか。
- 総頸動脈
- 上腕動脈
- 総腸骨動脈
- 膝窩動脈
- 足背動脈
解答と解説
解答3
1.○
2.○
3.× 総腸骨動脈は骨盤内深層に存在しているため、拍動を触知できません。
4.○
5.○
30P79 ショック時でも脈が触知しやすいのはどれか。2つ選べ。
- 尺骨動脈
- 橈骨動脈
- 総頸動脈
- 大腿動脈
- 足背動脈
解答と解説
解答34
ショックとは「重要臓器の血流が維持できずに生命の危機に至る症候群」と定義されています。
基本的に収縮期血圧が90mmHg以下になった時、もしくは普段の血圧より30mmHg以上低下した場合に診断されます。
血圧が低い状態でも触知可能な動脈ということで、総頸動脈と大腿動脈になります。
1.×
2.× 血圧80mmHg以下で橈骨動脈の触知困難
3.○ 血圧60mmHg以下で総頸動脈の触知困難
4.○ 血圧70mmHg以下で大腿動脈の触知困難
5.×
27P60 触知できない動脈はどれか。
- 橈骨動脈
- 総頸動脈
- 椎骨動脈
- 上腕動脈
- 足背動脈
解答と解説
解答3
1.○
2.○
3.× 椎骨動脈は頸部から頭部深層に存在するため触知できません。
4.○
5.○
- 『解剖学 第5版(標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野) 』(出版社:医学書院)
- 『からだの動きの解剖生理学』 (出版社:金芳堂)
- 『標準作業療法学 第2版』(出版社:医学書院)
- 『病気がみえる 循環器』(出版社:MEDIC MEDIA)
>>胸大動脈・腹大動脈に至るまでの、心臓から出る動脈と分岐に関する解説はこちらから↓
>>内頸動脈系と椎骨・脳底動脈系の分岐に関する解説はこちらから↓
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