脳を4つに区分する3つの大脳溝(ローランド溝・シルビウス溝・頭頂後頭溝)

脳を4つに区分する溝
目次

45P53 大脳で正しいのはどれか。

  1. 中心溝によって左右半球に分けられる。
  2. 外側溝によって側頭葉と後頭葉とに分けられる。
  3. 鳥距溝によって頭頂葉と後頭葉とに分けられる。
  4. 脳梁によって左右半球は連結している。
  5. 脳弓によって下垂体は視床下部と連結している。







解説

1. 中心溝によって左右半球に分けられる。 

大脳は人間の中でも特に発達している部分であり、約1200g(脳の重量の約80%)を占めています。

大脳縦裂という前後に縦走する裂隙によって左右の大脳半球に、小脳横裂という水平に走る裂隙によって大脳半球と小脳に分けられている。

つまり、大脳縦裂によって大脳は左右半球に分かれるという事になります。

2. 外側溝によって側頭葉と後頭葉とに分けられる。 

3. 鳥距溝によって頭頂葉と後頭葉とに分けられる。 

大脳半球の表面は「前頭葉」「側頭葉」「頭頂葉」「後頭葉」に区分されます。

これらは大脳溝(シワ)という特に深く大きい溝によって区分されており、大脳溝の間の隆起部位は大脳回といいます。

大脳半球の表面には多数の大脳溝がありますが、ここで覚えておく大脳溝は以下の3つになります。

①中心溝(ローランド溝)
前頭葉と頭頂葉とに分けられます。

②外側溝(シルビウス溝)
前頭葉、頭頂葉、側頭葉を上下に分けています。

③頭頂後頭溝
頭頂葉と後頭葉とに分けられます。

大脳

出典:側面から見たヒトの脳の構造( 『グレイの解剖学』から引用) (一部改変) 著者:Mysid パブリックドメイン
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Brain_diagram_ja.svg



鳥距溝はどこにあるの?

鳥距溝とは脳の内側面の尾側足端(後頭葉)に存在する溝です。

この溝を境に上下は一次視覚野であり、視覚情報は視床の外側膝状体を経由して視覚野に到達します。
それぞれ上部が楔部、下部が舌状回となります。

鳥距溝について問われた問題は45回が初めてであり以後も出題されていません。
必須項目ではありませんが、余裕があるようであれば覚えておきましょう。

鳥距溝


つまり、外側溝によって前頭葉、頭頂葉、側頭葉を上下に分かれ、後頂後頭葉によって頭頂葉と後頭葉にわかれるという事になります。




>>大脳皮質の機能局在(ブロードマンの脳地図)の詳細はこちらから

4. 脳梁によって左右半球は連結している。 

脳梁は大脳の中心にあり、左右の大脳半球皮質の同名領域間を連結する交連繊維の束です。

この脳梁が障害されると大脳半球は一体としての働きが難しくなり、伝導失語や視覚性運動失調などの離脱症候群を呈します。


この交連繊維は大脳皮質の深部にある白質であり、これらの神経線維は大きく分けて3つに分類されます。


【連合繊維】 同側の大脳半球皮質部を結合
(弓状繊維、上縦束、下縦束、鉤状束、帯状束、前頭後頭束など)

【交連繊維】 左右の大脳半球皮質部を結合
(脳梁、前・後交連、脳弓交連など)※「交連」と名前が付く

【投射繊維】 大脳皮質と下位脳(間脳、脳幹、小脳)、脊髄とを結合
(内包、脳弓、放線冠、視放線など)※「放線」名前が付く

語尾の言葉である程度、どの繊維に分類されるか予想できそうですね。


つまり、交連繊維である脳梁によって左右半球は連結しているという事になります。

5. 脳弓によって下垂体は視床下部と連結している。 

視床下部は視床の前下方にあり、底部に乳頭体が存在します。

自律神経系や内分泌系の中枢として働きとして体温調整や睡眠など重要な生命活動の調整を行っています。

視床下部は視床下部漏斗によって下垂体と連結し、様々なホルモンを分泌しています。

脳弓は海馬と視床下部の乳頭体を結ぶ投射繊維であり、情動記憶として回路(パペッツ回路)が知られています。

つまり、視床下部漏斗によって下垂体は視床下部と連結しているとなります。

出典:人の脳 著者: nendo (イラストAC)
https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=22366956&word=%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%84%B3

類似問題

54A53 脳の解剖で誤っているのはどれか。

  1. 黒質は中脳にある。
  2. 海馬は側頭葉にある。
  3. 中小脳脚は中脳と小脳を連絡する。
  4. 脳梁は左右の大脳半球を連絡する。
  5. 中心溝は前頭葉と頭頂葉の間にある。

36-36 大脳皮質について誤っているのはどれか。

  1. 脳梁は皮質と視床とを結合する。
  2. 連合繊維は半球の各皮質部を連絡する。
  3. 一次運動野は中心溝の直前にある
  4. 神経細胞の形と配列とから6層に区別できる。
  5. 皮質を中枢とする姿勢反射がある。

32-25 大脳皮質について誤っているのはどれか。

  1. 神経細胞の形と配列とから6層に区別できる。
  2. 連合繊維が半球の各皮質部を連絡する。
  3. 脳梁が皮質と視床とを結合する。
  4. 一次運動野は中心溝の直前にある。
  5. 皮質を中枢とする姿勢反射がある。
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